ファミリーガバナンス 家族に求心力をもたらす1000年の叡智

タワケ相続をデフォルトとする社会に抗う

戦後の民法(相続法)は、家督相続(戸主による相続)を否定し、諸子平等の相続方法をデフォルトとして規定した。その相続方法を変更したければあらかじめ遺言を作成して対応せよということだ。
戦後80年になろうという現代において遺言の作成件数は、公正証書ベースで年間11万件に上る。公正証書ではない私文書遺言を含めると30万件に及ぶのではないだろうか。
高齢者3000万人のうち1%が毎年遺言を作成していく。
問題はその内容だ。ほとんどの遺言は、不動産を誰に相続させるかという機能をもたせることに集中している。それは不動産を共有することとなる相続方法はトラブルのもとになるという経験則が働いているからである。その結果、不動産は細分化されていく。
いわゆる田分けである。
収益力や資産価値はますます減り、だれにとってもいいことはない。
このような戯けた相続スタイルが跋扈しているのは、目の前のトラブル回避を目的としているからだが、それはまた家族の絆の欠如、求心力のなさを真因としている。
信託とは、タワケな家族になりたくないという頭のいい家族が進んで選択すべき方法だ。
相続をきっかけに家族が離散・崩壊する。
財産の分け方で心まで分けてしまう。
そんな愚かなことをしていけないと思うがどうだろうか。